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ここだけ真夏のスレ
- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:17:57 ID:yt8av6OW0
- めっさ暑くね? スイカ食いてーwwwwwwwwwwwwwww
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:18:07 ID:/cn76C3R0 ?#
- アイス買ってくるわ。。
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:18:30 ID:nzqHzZxt0
- 花火やろーぜwww
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:18:33 ID:OPVSXHHg0
- きょうも昼メシはアイスだな
- 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:18:35 ID:y8ZkzKac0
- 川にダイブしてくる⊂二二( ^ω^)二⊃アチー
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:18:37 ID:alKmAN/f0
- 夏厨ウザス
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:18:45 ID:CPeyb0Wv0
- 終了
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:19:04 ID:BNxCYmmY0
- 今年の夏もクーラーなしで過ごすぜ!
- 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:19:37 ID:yt8av6OW0
- いいから海いこーぜ 海!!!
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:20:14 ID:1o88wwIJ0
- 夏なのに色白の奴キモスwwwwwwwww
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:20:51 ID:yt8av6OW0
- さっきファイマで花火買ってきたお ( ^ω^)
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:20:53 ID:nQydbbDg0
- ─┼─、 | | _/__\\ / __
/~| ̄/ ヽー-|──|─ / __ / / / \
| |/ | | ┘ / \ / / |
\ノ丶 ノ └── / \__ \ \/ /
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:21:16 ID:yt8av6OW0
- ファイマってなんだお ファミマだお( ^ω^)
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:21:33 ID:fAkFds0M0
- 夏休みの宿題は終わったか?
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:22:22 ID:CPeyb0Wv0
- ファイマwwww
ワロスwwww
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:22:59 ID:1o88wwIJ0
- 早く冬なんねーかな
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:23:21 ID:yt8av6OW0
- さーさー 街を歩くおねえたん達がキャミソールの季節になってきました
- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:24:00 ID:HyvH1kiV0
- ミニスカ萌えす
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:24:16 ID:j79pV+DBO
- セミうめぇぇぇぇええぇぇぇ
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:25:04 ID:CPeyb0Wv0
- とても暑い夏の日のことだった。
内藤はいつものようにブーンをしていた。
日の光に照らされ、汗すらも輝いて見えて。
「走れよ!!もっと走れよ内藤!!」
子供たちにはやし立てられ、一層速さを増して行く内藤。
とても暑い夏の日のことだった。
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:25:46 ID:yt8av6OW0
- 今日24時間テレビやるじゃんwwwwwwwww
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:26:48 ID:nVx+HvQd0
- エアコンつけてーけど電気代節約
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:26:56 ID:QIuv0GkUO
- 足の指に蚊に刺されたwww
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:28:45 ID:oMF4BmT+0
- プールでも行ってスク水見てくるか
- 25 :DJ ◆djDLon5i1g :2005/12/12(月) 13:28:49 ID:oWF7NI8XO
- あまりに暑くて腹が立ったから全裸になってる
- 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:29:02 ID:CPeyb0Wv0
- 内藤は走った。
日本全国、北から南へと走り回った。
子供達の間でも、内藤のことは少しずつ有名になっていった。
その下卑た顔つきに、保護者は良い顔はしなかった。
それでも『一過性の流行だろう』と、誰も内藤を止める者はいなかった。
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:29:11 ID:kvKTV/tiO
- 電車のってのる電車間違えたつって下りる→乗るを繰り返せばただでクーラー
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:30:11 ID:yt8av6OW0
- >>27 やっぱ夏は図書館だお( ^ω^)
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:31:10 ID:nVx+HvQd0
- なんでレンジがメインにでるんだよ、うぜー
- 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:33:01 ID:CPeyb0Wv0
- 僕が内藤に出会ったのは松江の路地裏でのことだった。
松江――島根県。名だたる過疎地である。
子供の数の少ないその土地では、他の地域に比して内藤の知名度は
低かった。
内藤の顔には憔悴の色が浮かんでいた。
しかし感情の色彩は必ずしも寂しさのそれではなく
もっと別な何か、絶望にも似たものがあった。
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:37:23 ID:CPeyb0Wv0
- 僕はミネラルウォーターを携え、内藤の元へそっと近付いた。
「内藤さん」
一瞬、肩を震わせておずおずと僕を見上げる内藤。
怯えている。そんな表情を刹那に見せ、すぐに笑った。
笑顔はしかし、とても投げやりで力なかった。
勢いよく走り回るあの勇姿と今の内藤とは、およそ符合するところがない。
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:40:03 ID:yt8av6OW0
- だれかサーフィン教えて
- 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:40:26 ID:CPeyb0Wv0
- 沈黙が互いを支配する。
僕の知っている内藤は、決して寡黙ではない。
なぜ内藤は、かくも憔悴しているのだろうか。
沈黙を破る端緒を掴むべく、僕は内藤にミネラルを差し出した。
「水、飲みませんか?」
「…ありがとうだお( ^ω^)」
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:40:43 ID:4QKkzRnt0
- ι(´Д`υ)アツィー
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:41:42 ID:7xbqoxDm0
- 本当に夏だったら
いちいちそんな事いわない
- 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:45:55 ID:CPeyb0Wv0
- 僕は懐中から煙草を取り出すと、内藤の横に腰を滑らせ、静かに火を点けた。
どこかでアブラゼミが鳴き始め、僕らの沈黙を野暮ったく埋めてくれる。
煙を吐き出しながら内藤の方を一瞥すると、内藤はケホケホと咳込んでいた。
「すいません、煙草苦手でしたか?」
「違うお、ちょっと体調が優れないんだお(;^ω^)気にしないでくれお」
そういって内藤はうつむいた。
顔を注視すると、内藤の頬がげっそりと痩せこけていることに気付いた。
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:50:14 ID:CPeyb0Wv0
- 「内藤さん、随分痩せましたね」
「そ、そんなことはないお(;^ω^)CHA-RA?ヘッチャラだお( ^ω^)」
彼は僕を笑わせようとしてくれたのだろうが、生憎ちっとも面白くなかった。
「ちゃんと食べてないんでしょう?」
「食べてるお。なんてことを言うんだお(#^ω^)」
内藤が言い終わる前に、彼の腹の虫が正直な鳴き声を上げた。
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 13:55:01 ID:CPeyb0Wv0
- 「食べてないんじゃないですか」
「……(;^ω^)」
「なんで食べないんですか?」
「……(;^ω^)」
内藤は黙っている。
この猛暑のおり、食欲が無くなるのは分かる。
しかし、何も食べないのでは体力は失われるばかりだ。
「ホントにお腹は減ってないんだお……( ^ω^)」
内藤はそう呟いた。
左手のペットボトルは、とうに空になっていた。
- 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:00:18 ID:CPeyb0Wv0
- 「……内藤さん、良かったら何か食べに行きませんか?
僕、奢りますから」
その言葉に内藤は、僅かに狼狽の色をたたえた瞳で僕の方を見た。
どうして彼はこんな単純な言葉にうろたえるのだろうか。
僕には皆目見当がつかなかった。
彼は一瞬ためらい、でもその後でゆっくり口を開いた。
「( ^ω^)じゃ、じゃあ行…」
「あっ!内藤だ!!」
突如、耳をつんざく幼い矯正。
小学生と思しき集団が、通りから現れた。
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:03:16 ID:CPeyb0Wv0
- 「内藤だ!!内藤だ!!」
「走れよ!!走れよ内藤!!」
「ブ?ー?ン!ブ?ー?ン!」
巻き起こる内藤コール。
彼を見付けた喜びに沸く小学生たち。
この時、彼らには分からなかったのだ。
内藤は既に走れる状態ではなかったことが。
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:08:43 ID:CPeyb0Wv0
- 眩しい太陽が容赦無く照り付ける。
何もしてなくとも、その光を浴びているだけで体力は奪われる。
内藤とてそれは例外ではない。
しかも彼は、贔屓目に見ても元気とは言えない、むしろ満身創痍である。
この状態で、この真夏の最中、走れるのか?
答えは、NOだ。
常識的に考えれば―――
「内藤さん、今日はもう」
しかし内藤は、僕の言葉を待たずに駆け出した。
「ちびっこたち、一緒に走るお!!!⊂ニニニ( ^ω^)⊃」
内藤はすぐに、見えなくなった。
- 42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:12:35 ID:CPeyb0Wv0
- 一陣の風が僕の前を翔けた。
遠くで喚声が起こっている。きっと…きっと内藤、なんだろう。
とにかく、元気に走る彼の姿を見て、全ては杞憂に過ぎないのだと思い直した。
束の間の内藤との出会いを胸に秘め、僕はそこを立ち去ろうとして、踏み止どまった。
手帳が落ちている。
- 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:16:03 ID:CPeyb0Wv0
- 僕はその手帳を拾い上げた。拙い字で
『N?ホライゾン』
と書かれている。
なぜ内藤を敢えてNと表記したのか、それは僕には分からない。
とにかくこれは彼の物なのだろう。
返さねば、とは思ったが、彼の姿は既にここにはない。
僕は一瞬ためらったが、もしかしたら連絡先など記してるかもしれない、
と思い手帳を開いた。
- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:20:03 ID:CPeyb0Wv0
- 7/6 晴れ
走ったお。今日も走ったお。走るのは非常に気持ちがいいお。
明日も走るお。
7/8 くもり
今日は過ごしやすい一日だったお。
もちろん走ったお。
涼しいのはけっこうだけど、やはり太陽の下を走る方が
気持ちがいいお。
7/13 晴れ
今日走っていると
『内藤!!走れよ!!』
と声を掛けられたお。
きっと僕のワンフーだお。
非常に嬉しいお。
- 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:23:22 ID:E0w+IM9l0
- お姉さんの薄着たまんないお( ^ω^)
幼女の薄着もたまんないお( ^ω^)
- 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:24:38 ID:fAkFds0M0
- ttp://www.geocities.jp/mes_chansons/simamoto2.swf
- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:24:43 ID:CPeyb0Wv0
- 7/16 あめ
走りに走っているうちに、気付いたら栃木まで着いてたお。
さすがに疲れたお。
雨だし、今日は久々にや
7/21 晴れ
疲れたお。
この前は書きかけなのに
『内藤!!走れよ!!』
と、またワンフーから声を掛けられたお。
ワンフーは日に日に増えて行くお。
嬉しいけど、ちょっと疲れたお。
7/25 くもり
足が痛いお。
お腹が空いたお。
なんで僕は名古屋にいるんだお。
ひもじいお。
帰りたいお。
- 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:30:22 ID:CPeyb0Wv0
- 7/26 くもり
昨日は心が折れかけたお。
でも子供たちの期待は裏切れないお。
走るお。
みんなが待ってる限り、走るお。
7/30 ひどいあめ
いつの間にやら滋賀に着いてたお。
道々にはすごい数のワンフーがいて、休む暇すらなかったお。
いつの間に僕はこんなに有名になったんだお?
8/2
お腹が空き過ぎて倒れたお。
何か食べたいお。
随分痩せてしまったお。
でも、お金がないお。
でも、でも、僕が働くとこなんて、子供には見せられないお。
そんな姿を見せたら、きっとがっかりするお。
僕に彼らの夢を破る権利なんて、ないお。
- 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:33:33 ID:CPeyb0Wv0
- 8/5 はれ
もう、やめるお。
やめるお。
やめるお。
やめるお。
8/7 くもり
昨日、一人の女の子が来たお。
彼女は車椅子だったお。
彼女は手紙をくれたお。
『ないとうさんが走ってるのを見ると、元気がでます。
これからもがんばってね、ないとうさん』
走るお。
走るお。
走るお。
僕は、走るお。
- 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:38:08 ID:CPeyb0Wv0
- 手記はそこで終わっていた。
今日は8/10。
ここに綴られた心境は、だから、つい最近のものだ。
「内藤……」
僕は呆然とした。
あの内藤が、こんなにも重いプレッシャーと戦っていたなんて。
いや、それはこの際問題じゃない。
止めなければ。
内藤を、止めなければ。
きっと彼は、死ぬ。
そう思い、僕は何とか彼に連絡を取る手立てはないものか、と手帳を次々にめくった。
すると最後の方に、一遍の句があった。
- 51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:42:31 ID:CPeyb0Wv0
- 『世の中に
絶えて桜のなかりせば
春の心も
のどけからまし』
ここにおいて、僕は内藤の悲壮な決意を感じ取った。
内藤―――走らなければ、走る必要がなければ、
辛いことが身に降ることもないだろう。
しかし彼は走る、走らなければならない。
それは絶対に、変えることのできない定め。
- 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:46:04 ID:CPeyb0Wv0
- 彼は受け入れているのだ。
空気を吸って吐くことと同じように
『走る』ということを、受け入れているのだ。
その先にどんな結果が待ち受けていようとも。
きっとどんなに止めても、彼は絶対に走ることを止めない。
手帳を閉じると遠くで驟雨のように鳴いていたアブラゼミが、パタリと鳴きやんだ。
- 53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:51:26 ID:CPeyb0Wv0
- 季節は秋になり、しぶとく鳴いていた蝉の声は
コウロギや鈴虫の静かな音色にその役目を奪われつつあった。
内藤はと言えば…消息は僕には分からない。
噂も、いつの間にか立ち消えていた。
寂しいが、それも仕方のないことなのだろう。
きっと内藤は、夏の始まりとともに訪れ、短い命を燃えるように輝かせる
あの蝉たちと同じだったのだ。
- 54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 14:56:00 ID:CPeyb0Wv0
- 残業を片付け、僕は帰路を急いだ。
家に着き、ソファーに腰掛けてギネスを飲む。
秋だと言うのに、今日は馬鹿に暑い。
刹那、遠くで蝉の鳴き声が聞こえた。
季節外れの蝉が一匹――
とんとん とんとん
同じくして、玄関のドアが叩かれた。
ギネスを机に置くと、僕は玄関に向かいドアを開けた。
内藤がいた。
痩せこけて、ボロボロになって、それでも力無く笑っている内藤が、そこに。
- 55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 15:00:55 ID:CPeyb0Wv0
- 「内藤さん、あんたなんで…」
驚きと戸惑いに言葉を失う。
なぜ彼はここに。
なぜ彼はこんなにボロボロに。
なぜ彼は。
なぜ彼は。
なぜ。
なぜ。
様々な疑問符が頭に過ぎる。
全ては言葉にならない。
「…だお( ^ω^)」
「え?」
「ありがとうだお。長い旅路、僕の体を労ってくれたのは君だけだったお( ^ω^)」
「いや、そんな…」
「はいだお( ^ω^)」
内藤はそっと左手を差し出した。
そこには、あの日僕があげたのと同じミネラルウォーターがあった。
- 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 15:04:01 ID:CPeyb0Wv0
- 「こんなもの、別にどうでもよかったのに…」
「カリが返せて良かったお( ^ω^)」
そう言うと、内藤はバッタリと突っ伏した。
「内藤さん……?内藤さん?!」
僕は慌てて彼の細長い腕を取る。
脈が、ない。
- 57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 15:11:53 ID:CPeyb0Wv0
- 混乱する頭を必死で冷静に立て直しながら、僕は彼を仰向けにした。
みぞおちの少し上、心臓のあたりを両手で必死に押す。
体は、脆く折れそうな程に痩せ細っている。
一回、二回、と等間隔に押しつける。
しかし反応はない。
僕は内藤の顎を少し持ち上げると、口から口へ空気を流し込んだ。
必死に蘇生を試みる。
頼む。お願いだ。生き返ってくれ。
すると、内藤は薄く瞼を上げた。
「内藤さん?!しっかりして内藤さん!!」
内藤は口を少し開けて、何かを僕に伝えようとしている。
「ダメだ、喋っちゃダメだ内藤さん」
僕は救急車を呼ぼうと立ち上がった。
その腕を内藤は掴んで、引き止めた。
「内藤さん…!!」
「初キッスだったお……」
内藤はそう言ってニッコリとほほ笑むと、また瞼を閉じた。
それは彼の最後の言葉になった。
- 58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 15:15:59 ID:CPeyb0Wv0
- 彼は蝉のようだ、と僕は言った。
でも彼は、次の夏も、その次の夏も、帰ってこない。きっと。
彼は蝉ではなかった。
ただ、内藤だった。
方々手を尽くしたが、内藤の縁者は見つからなかった。
それどころか、彼には戸籍すらなかった。
僕は大山の山奥に赴いて、彼を火葬し荼毘に付した。
内藤の骨は少し苦かった。
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 15:19:40 ID:CPeyb0Wv0
- 家に帰った僕は、IEを開いた。
ネットを開いても、かつてあれだけ話題を呼んだ内藤の話題は
塵も見付けることができない。
そういうものなのかもしれない。
それでいいのかもしれない。
諦めて僕は煙草に火を点けると、ふと、傍らの手帳が目に留まった。
『走るお。
走るお。
走るお。
僕は走るお。』
涙が、溢れた。
- 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 15:22:37 ID:CPeyb0Wv0
- 僕はキーボードに向かった。
ディスプレイが涙に霞む。
シャツの袖で目を擦り、僕はカタカタとキーを叩いた。
2ちゃんねる
ニュース速報VIP板
「( ^ω^)初めましてだお。僕は内藤ホライゾンだお!!」
おしまい。
- 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 15:28:39 ID:nVx+HvQd0
- 全米が泣いた
- 62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 15:33:39 ID:HyvH1kiV0
- 乙
- 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 15:41:08 ID:uAe9gViH0
- naita
- 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 16:31:33 ID:BoS52HC10
- ( ^ω^)
- 65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 16:32:44 ID:P/sD29Rs0
- ⊂二二二( ^ω^)二⊃
- 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2005/12/12(月) 16:33:29 ID:jDaPJQFb0
- ∧∧
(,,´ヮ`)
o(u_u)っ エヘ
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