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21歳新米OL、課長に恋しちゃったの2年目

1 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 20:59:38.69 ID:uQBT4wlq0
作者まとめwiki http://www8.atwiki.jp/shihoaya/

今の職場に入ってかれこれ半年、仕事もそこそこ身についてきたし……
それに、好きな人も出来た。室尾誠36歳。私の上司。
一生懸命で、ちょっぴりドジで……そして、既婚。

前スレあらすじ
年の瀬に開かれた酒宴の席にて志穂先輩に勇気付けられ、
来年こそは頑張って思いを伝えようと決心するマユミ。
そして、年が明け……


2 : ◆fF3PLVAiZY :2006/02/19(日) 20:59:59.51 ID:y6AU7Pap0
 |  |人
 |  |__)
 |_|∀・) 小説?
 |糞|⊂)
 | ̄| /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/19(日) 21:00:03.89 ID:GpjHsKxF0
        ,,-‐----‐ , -'"` ̄ ̄"`''-,__, --‐‐-..,
        /  、゙ヽ、 ‐-'´          ヽ‐- / /   ヽ
      ,/´ .., ヽ,,l_)'    zェェェァ'  ;rfァt ヽ ,ト/ /    ヽ
     /    ヽ,r' ,l′    _,,,   . __,,  ,l゙.-〈__r,'、   ヽ_
    _.l    ヽ」   ,l    .イてソ` l イにj`,/    ゙‐ヽ、_,,  /l >>1
    ,l l|  −'´ll   ,l    rソi"  ヽ じ'' f゙l    .,//゙l   //\ ココおかしいんじゃねえか
    l`l|     l|ヽ  v'⌒ヽ       .,ノ  j/    |l    //   }
   l  \    l| ,l  l_U>    r‐--‐ァ  ,l    |,l   //    l
   /   '\   l|`l   ゝ_,´   ゙ヽ__r′ .,.'   ___l ヽ //     |
  ,l     '\ l| .lヽ__lL..,,, __ ,, _イ___./ |  ∨/      ,}
  |       ヽl |    ,| .ヽ \   //ヽ     ,|

4 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:00:11.44 ID:uQBT4wlq0
「うん、うん……分かってるってばぁっ!」
経済的な事情により実家に帰れないので電話にて新年のご挨拶をする。
……ちょっと服買いすぎちゃった。ごめんよ母ちゃん。
「それじゃお盆には帰るから、2人とも元気でね」
ピッ

さ〜てっと、それじゃ新年のお楽しみ行ってみますかぁ〜!
ねっんがじょうっ!ねっんがじょうっ!
いやま、正直どうかとは思うんだけどね。スウェット姿に頭ボサボサで一人はしゃぐのもさ。

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/19(日) 21:01:04.41 ID:K5c78l5q0
http://ameblo.jp/yoshiki1103/entry-10009261260.html
こいつ、山口組を馬鹿にしてるぞ。
一発コメントを残してやれ。

6 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:01:08.12 ID:uQBT4wlq0
>>2はい、そうです)

え〜と、実家からにマミにサチコに……
あ、志穂さんからも来てる。
うわお、手書き。しかもすごい達筆!
……でもこれどう見ても犬じゃないし。うん、豚だわ。

お、これは香苗からか。
そうだね、あんたはそういう子よね……ローソンで見たからこの絵の。

大泉君からも来てるや。
印刷かな?あ、一筆添えてある。
『今年もお互いによい一年でありますように……』
やっぱりいいやつだねぇ、うんうん。

7 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:01:48.82 ID:uQBT4wlq0
あ……

『室尾 誠』

どんな年賀状なんだろ……

『明けましておめでとうございます
昨年は公私に渡り、大変お世話になりました
本年もまた一層のお引き立て賜りくださいますよう
よろしくお願い申し上げます』

手書きだ……あ、横に小さくなんか書いてある。

『今年はドジが直るようがんばります』

課長……直るじゃなくて治る、ですよ。もぅっ。

8 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:02:18.80 ID:uQBT4wlq0
「んふふぅ〜」
1月2日、今日もまた課長からの年賀状を見ながらニヤニヤしている。
はぁ〜、早く会いたいなぁ〜。
早く1月4日にならないかなぁ〜。

もう思い切って電話しちゃうとか!?

……いや、さすがにそりゃマズいか。奥さんでたらどうすんのよ。
あ〜仕事始めが待ち遠しいよぉ〜っ!!

……さすがにベッドの上でバタ足はそろそろきついか。年齢的に。

9 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:02:47.13 ID:uQBT4wlq0
1月3日、いよいよ明日課長に会える〜っ!
とりあえず新聞新聞っと、昨日は新聞無かったしね。

う〜ん、広告もあんまし入って無いや。
お、今日は牛乳安いのか〜。後で行ってこよっと。

さて、それじゃ新聞本体でも読みましょっかね。
ふんふんふ〜ん、とりあえず後ろから〜

……ん?
今なんか見覚えのある字が見えたような?
なんだろなんだろ〜?


10 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:03:36.17 ID:uQBT4wlq0
あ、やっぱり!
『室尾 誠』
おぼれてる子供でも助けたのかなぁ〜?

『モチを喉に詰まらせて会社員死亡
1月1日未明、会社員室尾 誠(36)が自宅にて……』

え?見間違えかな?

『モチを喉に詰まらせて会社員死亡
1月1日未明、会社員室尾 誠(36)が自宅にてモチを喉に詰まらせ、
搬送先の病院にて数時間後に死亡……』

……同姓同名の誰かよね、うん、そうだよね、まさかね。


11 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:04:12.79 ID:uQBT4wlq0
――誠に残念ではありますが、志半ばにお亡くなりになられた
室尾誠営業2課長のご冥福を……

1月4日仕事始めのその場に課長の姿は無く、代わりに営業部長がその席に立っていた。
やっぱり本当だったんだ、あのニュース。
今年はドジ治すって言ってたのにね。
お餅、ノドに詰まらせちゃうなんて……もぅ。

意外と平気なもんなんだな、好きな人が死んじゃっても。
……そんな程度の気持ちだったのかな、やっぱり。

12 : ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:05:34.57 ID:uQBT4wlq0
(ここまでが前スレ終盤コピペ分です。
これよりリアルタイムで書き込んでいきますので減速します)

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/19(日) 21:06:58.04 ID:TKDsvLZ50
乙です
スマソ、いつの間にか落ちてたorz

14 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:08:13.56 ID:uQBT4wlq0
年が明けて最初の仕事。
始業時は若干バタついたものの、昼以降は平時と変わり無く
滞り無く業務がなされていく。

ふと、課長の席を横目で見る。

……うん、もういないんだよね。

代わりに、営業部長が座っていた。

15 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:11:02.51 ID:uQBT4wlq0
>>13気にしない気にしない、たまには落ちる事もある)

今日もまた、滞りなく仕事が進んでいく。
課長の席に、新しく営業2課長に任命された……誰だっけ。
新しい課長が、その席に座っていた。

「木戸さん……」
「ん、何」
「……いや、何でもない」
大泉君たら、変なの。

あ、いけない。伝票の数字一桁間違えてた。

16 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:13:23.62 ID:uQBT4wlq0
今日も、問題なし。
何事も無かったみたいに。

「木戸君ちょっと」
あ、新しい課長が呼んでる。

「こまるんだよ、こんな初歩的なミスされちゃぁ」
「すいません」
「まったく……次からは気を付けてくれよ」
「はい」

17 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:14:45.90 ID:uQBT4wlq0
「ねぇマユミ」
隣の席から香苗がこっそり話しかけてきた。
「大丈夫なの、アンタ……」
「ん、何が?」
「いや何がって……」

変なの。

何も、問題なんて無いに。

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/19(日) 21:16:39.81 ID:zbZefhw+O
ごめんよ。
油断した隙に落ちちゃった…………。

19 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:17:43.13 ID:uQBT4wlq0
あ、志穂さんからメールだ。
『最近顔見せないけど、マユちゃん大丈夫?』

心配性だなぁ志穂さん。
大丈夫ですよっと。
ピッピッピ。

ヴヴヴヴ、ヴヴヴヴ
『ホントに?』

もぅ。
……面倒だから、電源切っとこ。

20 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:21:02.90 ID:uQBT4wlq0
>>18気にしない気にしない)

「マユミ……ちゃんとご飯食べてるの?」
えっと、この書類が15日締め切りだから……明後日か。

「ねぇ、聞いてるの?」
「え、何?」

あ、これ課長からハンコ貰わないと。
記入漏れ無いか過去の分と照らしあわせてチェックしよっと。


21 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:23:27.79 ID:uQBT4wlq0
パラパラパラ……

あ……

去年の書類の中。朱色で、丸に囲まれた『室尾』の文字。

「ちょっと、どうしたのマユミっ」
「ごめん、ちょっとトイレ」

早足で、トイレの個室に駆け込んだ。

22 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:26:32.19 ID:uQBT4wlq0
洋式の便座の上に腰を下ろす。

課長……
室尾、誠課長……
会いたい……
会いたいよ……
あいたいよぉ……
気持ち伝えたかったよぉ……
課長、課長……
大好き、だった、のにっ……

会いたいよぉっ!会いたいっ!会いたいよぉっ!!
帰ってきてよぉっ!!!
なんで、もう、あえないのよぉっ!!!!!

23 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:29:34.72 ID:uQBT4wlq0
腕時計を見る。
2時間近くこうしてたみたい。
帰らなきゃ。

あそこにはもう課長いないけど。

いっそ、このまま辞めちゃおかな……

とりあえず、戻ろう。

24 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:32:53.86 ID:uQBT4wlq0
「あれ……」
机に戻ると、積んであったはずの未処理書類があらかた無くなってた。
「代わりにやっといたから」
香苗がぶっきらぼうに言った。
「あと、課長には河部チーフに呼び出されてるって言っておいたから」
「ありがと……」

あの席は空席……外回り行ったんだ。
とりあえず、怒られないですんだや。

25 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:36:31.28 ID:uQBT4wlq0
「ほら、それこっちよこして」
「うん」
香苗がてきぱきと私の分の仕事まで片付けていく。
「でも、香苗の仕事は……」
「余計な事気にしないの」
「……ありがと」

香苗、こんな仕事出来たんだ。知らなかった……

終業間際には私の分の仕事もきれいさっぱり片付いていた。

26 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:38:51.05 ID:uQBT4wlq0
「あのさ、マユミ」
「何?」
香苗が机の上を片付けながら、こっちも見ずに行った。
「今週末の合コン、アンタも来なさいよ」
「え、でも……」
「いいかげん踏ん切りなさいよ」

そうだよね、いつまでもこんなままじゃダメだよね……

「うん……分かった」

27 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:44:16.93 ID:uQBT4wlq0
香苗に連れられて居酒屋に入る。
「始めまして〜」
「ひょ〜、今回レベル高いなぁ」
「やだもぉ〜っ」

みんな背高いなぁ、それに若いし……
「マユミ、マユミってば」
香苗が肘で私を突付く。
「ほら、自己紹介」
「あ、木戸マユミです」

28 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:49:09.95 ID:uQBT4wlq0
「へぇ〜、彩花堂行ってんだ」
「うん、私とこの子がね」
「やっぱ化粧品メーカー行ってるだけあって、香苗ちゃんか〜わ〜い〜いぃ〜っ」
「も〜っ何それぇ〜っ」

みんな賑やかだなぁ……
あ、鳥レバーだ。
そういえば課長好きだったっけ、鳥レバー。

課長、やっぱり会いたい……

29 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:52:22.34 ID:uQBT4wlq0
「どうしたのよマユミちゃん、飲んで無いじゃ〜ん」
「え、あ、はい」
気がついたら何か男の人が隣に来てた。
「ほらほら飲んで飲んで」
まだ半分ぐらい残っているグラスに、瓶からビールが注ぎ込まれる。

そういえば課長もよくこうやって注いでくれたっけ。
注ぐのヘタでいつも泡ばかりになっちゃって。

ごくっごくっ

30 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 21:56:58.81 ID:uQBT4wlq0
「なんだいけるじゃんマユミちゃん」
「ええ、まぁ」
「ほらどんどん行こうよ、カクテルでも頼もっか」
「はぁ、それじゃ……」
「すいませ〜ん、スクリュードライバー1つ〜」
隣の人が注文し、すぐにオレンジ色のカクテルが運ばれてきた。

「ほらぐ〜っと行って、ぐ〜っと」
あ、美味しいなこれ。
「なになにコレ気に入っちゃったの?それじゃもう一杯行ってみよっか」

31 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:01:54.33 ID:uQBT4wlq0
「マユミぃ、大丈夫〜?」
「だいじょうぶぅ〜」
香苗がテーブルに両手をついて私の顔を覗き込む。
「そう、じゃ気を付けて帰るのよぉ〜」
「うんばいば〜い」
男の人と腕を組みながら歩いていく香苗に手を振ってみせる。

「ほら、マユミちゃん大丈夫?」
「だいじょうぶですってばぁ〜」
席から立とうとす……あらら、足に力が入らないや。
「ぜんぜんダメじゃ〜ん、ほらつかまって」
隣の席の人が手を貸してくれた。
「あ、ありがとぉ〜」

32 :ラッキーうんちょマン ◆UNKOOOOOtE :2006/02/19(日) 22:02:52.98 ID:Vla/gS/OO
wktk

33 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:06:00.55 ID:uQBT4wlq0
「ほらほら、ちゃんと歩いて」
「あるいてますぅ〜」
隣の席の人に肩を貸してもらい、しがみつくようにしながら歩いていく。
変だなぁ、そんな飲んでないはずなのに。
うん?なんか腰に手回されてる?

「やだぁ〜エッチぃ〜」
「ん〜、何が〜?」
それになんかこの辺見覚えないし。

「ね〜ね〜駅ってこの道であってたっけ〜?」
「あってるよ〜」
うん、ならいいや。

34 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:08:52.14 ID:uQBT4wlq0
ん〜、なんかネオンが光ってるなぁ。
ん〜〜……
ん?
え?
ちょ、え?
ホテル?
「ほらマユミちゃん行くよ〜」
「え、やだっ、何、はなしてよぉっ!」
「いいからいいから」

やだ、ホント放してってば!
……ダメ、体に力全然入んないし!
いやだっ!やぁっ!!助けて、誰か助けてっ!!

35 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:12:26.06 ID:uQBT4wlq0
「やだっや……ん〜、ん〜っ!!」
わめく私の顔を無理やり肩に押し付ける。

やだよぉっ!こんなのやだ!助けて!課長助けてっ!!!

「ほ〜ら大丈夫だいじょ……いてっ」
……え?

「な、なにしや、ぎぇぇっ!!」
なんかゴキって音がして、男の人が宙を舞って……え?
どさっ
「ほら、逃げるよ!」

36 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:14:14.78 ID:uQBT4wlq0
え?え?
何でここに?

「ほら走るよ、しっかりつかまって」
ちょ、え?

しかもお姫様だっこされて、え?

ねぇねぇ、どういう事なの?

大泉君っ!?

37 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:17:17.24 ID:uQBT4wlq0
「大泉君……なんで」
「話は後!しっかりつかまってて!!」
「は、はいっ!」

私をお姫様だっこしたまますごい速さで走っていく大泉君。
すごいな、こんな運動神経良かったなんて……

そしてネオン街を抜け、ライトが灯る公園に到着した。

「はぁ、はぁ、ここまで来れば大丈夫だろ……」
うわ、汗びっしょりになっちゃってる。

38 :ラッキーうんちょマン ◆UNKOOOOOtE :2006/02/19(日) 22:20:01.03 ID:Vla/gS/OO
大泉君かっこよす!!!!!1111111

39 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:22:04.01 ID:uQBT4wlq0
「とりあえず、ここに座って」
大泉君が私を下ろし、ベンチへと腰掛けさせる。
そして、まだ恐怖で震えている私に自分のコートをかける。
「ちょっと待っててね」
そう言って、自販機の方へと走っていく。

「はい、どうぞ」
目の前に缶コーヒーが差し出された。
あったかい……
プシッ
あ、甘口の……砂糖ミルク多め……


40 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:25:42.52 ID:uQBT4wlq0
「大丈夫?怪我は無い?」
大泉君も私の隣に腰掛け、優しげな視線を投げかける。
「うん、大丈夫……」
「そっか、よかった」
そして、心底ほっとしたような笑顔。

「でも……なんであそこに?」
「うん……まぁ……」
言葉を濁し、顔をそらす。
「何て言うか、その……」

赤くなってた頬が、ますます赤くなる……

41 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:29:45.08 ID:uQBT4wlq0
「ストーカーみたいでアレなんだけど……」
「なぁに?」
「心配で……後つけて来てたんだ」
「え、もしかして会社からずっと?」
小さくコクンとうなずく。

「ありがとう、大泉君……」
「木戸さん、課長亡くなってから……すっかり落ち込んじゃってたし……」
「……うん」
「そういう状態で合コン連れ出されて、大丈夫なのかなって」
「……優しいんだね」

42 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:33:55.57 ID:uQBT4wlq0
「ねぇ、大泉君」
「ん?」
「知ってたんだね、課長の事……好きなんだって」
急に熱いものがこみ上げてきた。

「課長に会いたい、あいたいよぉっ」
涙が溢れてくる。

……え?
大泉君も……泣いてる?
「木戸さん、好きなだけ泣いていいから」

43 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:38:12.42 ID:uQBT4wlq0
思わず大泉君の胸にしがみつく。
「課長、かちょうっ!好きだったのにぃっ!なんで、なんでっ!」
大泉君も私を抱きしめ、頭を撫でてくれる。
「うん、うん」
「気持ち伝えたかったよぉっ!好きって、ちゃんと言いたかったよぉっ!」
「大丈夫だよ、課長も、ぐすっ、聞いてくれてるよ」
「ホント?大泉君、聞いてく、れてるかな?」
「うん、空の上から、きっと聞いてくれてる」

あったかい、すごくあったかい……
ありがとう大泉君、ありがとう……

44 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:42:17.36 ID:uQBT4wlq0
日曜日の早朝、鏡の前に立ち入念にチェック。
「眉毛よし、目元も……うん、控えめにっと」
鏡の中に映る、黒いスーツ姿の私。

ちゃんと踏ん切り付けないと。
課長のためにも。
……大泉君のためにも。

決心した。
課長に、気持ちを伝えに行く。

45 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:42:49.77 ID:uQBT4wlq0
(では11時まで休憩します)

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/19(日) 22:43:25.65 ID:TKDsvLZ50
乙ですにゃ
っチーズケーキ

47 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 22:58:43.05 ID:uQBT4wlq0
このマンションの6階に課長の自宅がある。
オートロック前のインターホンのボタンを1つ1つ押していく。
……大丈夫、腹はくくってる。

ピンポーン、ピンポー……

「はい、どちらさまでしょうか」
落ち着いた、透き通るような声。
運動会の時に聞いたそれに比べると、少しばかり元気が無い。
「木戸と申します。室尾課長に生前お世話になった」
「あ、木戸さんね。今開けるからちょっと待っててね」

そしてガラス戸が開いた。

48 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:02:05.32 ID:uQBT4wlq0
「さぁどうぞ、上がって」
あの時と比べ少し伸びた髪を、後ろでざっくりと束ねている。
奥さんも……少しやつれたなぁ。

案内された和室に置かれた白木の祭壇。
写真の中でいつもと変わらない笑顔を見せている課長。
そして白い布に包まれた箱。

本当に、亡くなられたんですね。課長。
「失礼します」
祭壇の前に正座し、お焼香をあげる。

49 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:06:11.22 ID:uQBT4wlq0
――ダメですよ課長、ドジ治すって言ってたのに。
目を閉じ、手を合わせる。

――こんなキレイな奥さん悲しませて、まったく。
鼻にツンとくるお焼香の煙。

――課長……ずっとずっと好きでした。口に出しては言えませんでしたが。
胸の奥が熱くなる。

――今まで、本当に、ありがとうございました。天国では、もう、ドジ、しないでくださいね。
息が、まともに出来ない。

50 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:08:37.72 ID:uQBT4wlq0
「はい、これで涙を拭いて」
「ありがとうございます」
奥さんがタオルを手渡してくれた。

「……ありがとう」
「え?」
涙を拭く私に、不意に奥さんが礼を言った。
「あの人が生きていたらきっとこう言っただろうから……だから、ありがとう」

奥さんも、泣いていた。

51 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:14:57.20 ID:uQBT4wlq0
「早すぎますよね、まだ36だってのに」
「うん、一緒に旅行行こうねって約束してたのに」
お互いに涙を流しながら、あの人の事を語る。

「今年はドジ治すって、言ってたのに」
「ホント、お餅をノドに詰まらせちゃうなんて、あの人ったら」
「もっともっと、いっぱい話とかしたかったのにっ」
「私も、もっともっと、一緒にいたかったっ」

泣きじゃくる2人を、いつもと変わらない笑顔の課長が見守っていた。

52 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:19:14.18 ID:uQBT4wlq0
居間に移動し、テーブルを挟みお茶をすする。
「ねぇ、奥さん」
「ん?」
「やっぱり家でもドジだったんですか?課長」
「ええ、しょっちゅうご飯粒とか落としたり」
「もぅ……社食でもザル蕎麦スルスル逃がしてばっかだったし」
「ふふっ、あの人らしい」

「ねぇ、木戸さん」
「はい」
「あの人ね、いつも木戸さんの事話してくれてたのよ」
「え、そうなんですか?」

53 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:23:51.10 ID:uQBT4wlq0
「ドジってもいつもフォローしてくれる、助かるって」
「だって、放っておけませんからあの人」
「……ごめんなさいね、鈍感な人で」
「こちらこそ、奥さんがいらっしゃるのに……」

「……誠さんの事、好きになってくれてありがとうね」
微笑みながら、奥さんが言った。
「……え?」
「あの人がこんなに好かれてたなんて、嬉しいな」
「いや、そ、そんなっ」
「……ちょっぴり、妬けるけどね」
そして今度はいたずらっぽい笑み。

54 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:28:58.33 ID:uQBT4wlq0
「またいつでも遊びにいらしてね」
「はい、奥さんもお元気で」
いくらか明るい表情になった奥さんに見送られ、部屋を後にした。

マンションから出て、もう一度課長の部屋を見上げる。
同時に視界に入るどこまでも青い空。

背筋を伸ばし、深々と礼をする。

――課長、今までお疲れ様でした。

『ありがとう、木戸君もお疲れ様』

――それでは……さようなら。

課長の声が聞こえたような気がした。

55 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:33:21.27 ID:uQBT4wlq0
「それでね、今度はマザコン男ひっかけちゃってさぁ」
相も変わらずの職場の風景。

「あいかわらず男運ないわねぇ香苗」
1つ違うのは課長はもういないという事。

「でも近場手打つとか考えられないしぃ〜」
でも課長は生きている、私や奥さんの心の中で。

「私はそうは思わないけどな」
そして、私を成長させてくれた。

56 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:35:44.12 ID:uQBT4wlq0
今日はバレンタインデー。
「ねね、大泉君」

ちょっぴり太めの同僚。
「ん、なに?」

「はい、これ」
「え、いいの?こんな高そうなの」

私はもう……

「いいの――」

踏み出す事を、ためらわない。

「――本命だから」


〜完〜

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/19(日) 23:43:19.41 ID:JfjfGGyFO
お疲れ様でしたです。
>>1さん
wktkして次の待ってます。

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/19(日) 23:44:46.66 ID:TKDsvLZ50
お疲れ様でしたー。
俺も「本命だから」とか言われてみてええええええええええええorz

59 : ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:46:00.44 ID:uQBT4wlq0
>>57ありがとうございます。それでは12時まで休憩します。

……今日は早めに終わった&短い話で思いついたのがあるので、もう1本行きます)

60 :マユミ ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:47:08.24 ID:uQBT4wlq0
>>58ありがとうございます……本命だから。いや、言ってみただけ)

61 : ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:49:32.15 ID:uQBT4wlq0
(そしてすっかり遅くなってしまったけど>>46チーズケーキありがとうございます)

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/19(日) 23:52:08.29 ID:TKDsvLZ50
>>60
ちょwwwww
いや、言われてみたいとは言ったが……できれば♀から言われたいwwwwww

63 : ◆mWaYx4UM2o :2006/02/19(日) 23:57:20.35 ID:uQBT4wlq0
(ではぼちぼち開始します。

タイトルは『最後の手紙』)

64 :◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:01:45.68 ID:Tw2qS6o90
ベッドに横たわり、枕元のチェストに乗せられた写真立てに目をやる。
数十年前に撮った……確か30代半ばの頃だったか。

私と、志穂と、志穂が拾ってきた子猫のミルク。

でも、今残っているのは私1人だけ。


チェストの一番上の棚を開け、茶色い封筒を取り出す。
そして、カサカサした震える指でその中身を引きずり出した。

65 :◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:02:36.18 ID:Tw2qS6o90
『大好きな彩ちゃんへ』


このお手紙を見てるって事は、きっと志穂はもう側にいないんだね。

ごめんね、さみしい思いさせてしまって。

彩ちゃんは私達が再会したあの日の事、まだ覚えてるかな?

あの時はひどい事しちゃってホント、ごめんね。

66 :◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:03:14.88 ID:Tw2qS6o90
でもね、志穂は彩ちゃんとずっと一緒にいられて幸せだったよ。

いつも志穂のわがままに付き合ってくれて、ホントありがとね。

彩ちゃんがいてくれたから、志穂頑張ってこれたんだよ。

一緒に暮らそうって言ってくれた時……本当に嬉しかった。

ありがとうね、こんな私を選んでくれて。

67 :◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:03:43.96 ID:Tw2qS6o90
なんか最後まで迷惑かけっぱなしになっちゃってごめんね。

彩ちゃん、寂しがりやなんだから無理しないでね。

これから先、他の誰かと一緒になったりしても志穂怒らないから。

彩ちゃんが選んだ人なら、志穂もきっと安心出来るだろうから。

68 :◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:04:13.40 ID:Tw2qS6o90
それじゃ、志穂は先にいなくなっちゃうけど、彩ちゃんは志穂の分まで長生きしてね。

いつまでも彩ちゃんの幸せを祈って、お空の上から見守っているから。

彩ちゃん、愛してるよ。いつまでも、ずっとずっと。


追伸:別紙にお葬式の段取りや保険金の受け取り方なんかをまとめておいたよ。
生まれ変わっても、また一緒になれたらいいね。

69 :◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:07:30.66 ID:Tw2qS6o90
――今でも昨日の事のように思い出す。志穂を看取った、あの日の事を。
だんだんと冷たくなっていく小さな手。
まるで眠っているかのような安らかな顔。
8年たった今でも、はっきりと覚えている。

志穂が遺してくれた保険金や貯金のおかげで、こうして介護付きの老人ホームに入る事も出来た。
身よりも無いアタシがこうして人並みの暮らしを出来るのも、みんな志穂のおかげだ。

70 :◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:11:11.28 ID:Tw2qS6o90
志穂の助けになりたい、力になりたいと懸命に頑張ってきた。
でも、志穂はそれ以上に私の事を支えてくれた。

死んでからも、こうやって私の事を守ってくれている。
いまでもあの子は、私を愛し続けてくれている。

そして私も、ずっとこの気持ちは変わらない。

手紙を封筒に戻し、チェストにしまう。
そして電気を消し、目を閉じた。

だんだんと、だんだんと深い眠りへと落ちていく。

71 :◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:16:07.26 ID:Tw2qS6o90
(ここは……)
見慣れた景色……そうだ、ここは家の玄関だ。
いつの間に帰ってきたんだろうか。
靴を脱ぎ、ガラス戸を開け廊下へと上がる。

「あ、彩ちゃんお帰りっ!」
廊下の角からぴょこんと顔を出す。
その足元には子猫も一緒だ
「し……ほ……?」

全速力で、志穂に駆け寄った。

72 :◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:21:23.91 ID:Tw2qS6o90
「志穂ぉっ!会いたかったよぉっ!!」
力いっぱい志穂を抱きしめる。
「ほらほら彩ちゃん、泣かないの」
この声、この感触、間違いない、志穂だっ!!

「彩ちゃんありがとうね……志穂の事、忘れないでいてくれて」
なだめるように、アタシの髪を撫でてくれる。
「だって、アタシには、志穂しかいないからっ!!」
抱き合う2人の足元でミルクがじゃれつく。

「ありがとう……これからは、ずっと一緒だよ彩ちゃん。ずっと、ずっと……」
窓から、暖かい光が差し込み2人を包み込んだ。
「いこう、彩ちゃん」
「うんっ」
また、一緒になれたね。志穂……


〜完〜

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/20(月) 00:25:28.56 ID:qaWOue7eO
>>1さん乙です。

次の作品、楽しみにしてます。


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/20(月) 00:37:11.95 ID:WrnXHZtv0
おつかれさまでしたー
俺も楽しみにしてるぜ

75 : ◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:42:54.16 ID:Tw2qS6o90
>>73>>74ありがとうございます。
次のVIP連載は3月に入ってからを予定しております。
それまでの間に、予告していた通りwikiまとめで陵辱エロとラブラブエロを1本づつ書き下ろし予定。

それではこのスレはこれにてお開き。。
ここまでお付き合い下さった皆様&保守してくださった皆様、ありがとうございました。

……受験生の皆さん、3月になればお手すきになりますよ……ね?)

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/20(月) 00:46:35.57 ID:WrnXHZtv0
了解、じゃあwiki読んで待ちます
次のVIP連載開始のときに告知してくれるとありがたいな

77 : ◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 00:50:57.08 ID:Tw2qS6o90
>>76連載中はトップページに「イマココ!」が表示されます。
それと管理人の独り言の所にも連載始めたとか書くだろうし。性格的に)

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/20(月) 00:51:01.31 ID:qaWOue7eO
了解です!ウィキで楽しませていただきます。

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/20(月) 00:56:41.43 ID:SgpeocHOP
いま来たお。お疲れさまでしたー。
じゃあ私は三月までVIPに来るのを控えて受験頑張るお(`・ω・´)
前期・後期とあるんだけど前期で決まるといいなぁ…。

80 : ◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 01:06:11.28 ID:Tw2qS6o90
>>79受験頑張って下さいね、wikiでもエロやガルーダ以外に何か書いたりするかも知れないので息抜きにでも。

……それにしても16歳それからといい、かちょ恋といい何だか恋愛小説王道路線走ってるわけですけども、
皆さん的にはどのような話がお好みなんでしょ?)

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/20(月) 01:09:30.01 ID:qaWOue7eO
王道バンザァイ
\(^o^)/
え、ダメ?

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/20(月) 01:10:39.36 ID:WrnXHZtv0
恋愛王道も嫌いじゃないけど、小ネタがあちこちに仕込まれてるのもおもしろいかな


83 : ◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 01:28:59.76 ID:Tw2qS6o90
(なんだかんだでこの路線も支持されてるようで一安心。
>>82小ネタですか……その辺は多分書き方の問題かも。

16歳それからや17歳後半の場合、最初の段階でネタ部分をある程度想定していた訳なんですけども、
25歳やかちょ恋の場合、話を破綻なく書く事に集中しちゃってたもんで。
(25歳についてはH時の体位等、かちょ恋は各種伏線張りに集中してた))

84 : ◆mWaYx4UM2o :2006/02/20(月) 01:49:35.20 ID:Tw2qS6o90
(それではぼちぼちお休みなさいです。
また3月の頭にお会いしましょう……)

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/02/20(月) 02:31:20.00 ID:qaWOue7eO
お休みです!

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